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 VOL.21 / 2 0 0 6. 12 .25 (MAN) 発行

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■平成18年の本県経済の動向と今後の見通し

 平成18年の日本経済は、新興国などの需要拡大やOPECの原油生産余力
の低下等を背景に原油価格の高騰が続き、経済全般への悪影響が懸念さ
れたものの、前半から輸出・設備投資などの民間需要を中心に堅調を持
続。11月には戦後最長の「いざなぎ景気」を抜き去り拡張期間が58か月
に達するなど、概ね順調な回復を持続した。しかし、これまでの景気拡
大期と比較するとその幅は小さく、特に、復調感が弱い個人消費が示す
ように、一般家計にとっては実感に乏しい景気拡大となっている。
 こうした中、平成18年の本県経済を振り返ると、需要部門では、新車
販売がガソリン価格の上昇に加え、少子・高齢化社会の到来による保有
者層の減少などから大幅な前年割れに陥ったものの、大型店売上高(百
貨店+スーパー)は景気回復による雇用情勢の底入れなどから、春先以
降、堅調を持続。県内の消費動向は、全体として、持ち直しの動きがみ
られた。また、投資も、公共工事は不振ながら住宅投資など民間需要を
中心に順調に推移した。一方、企業部門では、生産面で繊維、眼鏡など
の地場産業が不振ながら、電気機械、一般機械を中心に増勢を持続。し
かし、企業マインドは、需要減に悩む建設業などを中心に依然水面下
で業種間によりバラツキがみられた。
 こうした結果を踏まえて、平成18年の本県経済を総括すれば、低調な
企業マインドが示すように依然弱気が支配しているものの、全体として
は年を通じ緩やかな回復に向けた動きが強まった年であった。ただ、a.
供給サイドの判断指標である大型店売上高(近畿経済産業局発表の県内
大型小売店販売高)については、比較した平成17年が過去5年間で最低の
売上高であること、b.所得環境についても改善傾向にあるとは言え、実
額ベースで平成12年を下回ることが予想されること、c.復調感の強い
生産面でも、引き続き繊維、眼鏡等の地場産業が低迷していること、d.企
業マインドも、依然水面下で、かつ業種間でのバラツキがみられ、特に、建
設業での悪化傾向、卸・小売業でも改善傾向にあるとは言え、その水準
が低いこと等を勘案すると、県内においては、いまだ本格的な景気回復
には至っていないとみるべきであろう。
 一方、平成19年の経済情勢(国内)は、a.世界景気の牽引役となっ
てきた米国経済が金利上昇と原油高騰の影響から景気減速に陥っている
こと、b.生産面でも主力の電子部品・デバイス分野の在庫調整が懸念
される段階に入ってきたこと、c.給与所得の伸び鈍化や定率減税の廃
止などによる消費マインドの冷え込みから個人消費に力強い回復が見込
めないこと等の懸念材料があり、来年は景気拡大局面が続くとは言え、そ
の勢いが鈍化するとの見方が支配的である。
 こうした中で、平成19年の本県経済の見通しについては、生産面で地
場産業分野の停滞に加え主力の電気機械分野の増勢鈍化から、今後の伸
びが緩やかなものになるものと予想されることや、消費面でも全国同様、
所得の伸び悩みなどによる消費マインドの冷え込みからこれまでの勢い
が鈍ると考えるべきであろう。従って、平成19年の県内経済は、総じて
堅調に推移するものの、全体としては力強さを欠き、徐々に踊り場に向
かっていくものと思われる。

                 (地域経済研究所・南保 勝)


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