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 VOL.32 / 2 0 0 7. 11 .30 (FRI) 発行

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▽「まちづくりは本格化するか?」
 
 この11月30日に改正「都市計画法」が全面施行される。これで、既に施行
されていた「大規模小売店舗立地法」、全面改定され今年 8月22日施行され
た「中心市街地活性化法」とともに「まちづくり三法」が揃った。これでま
ちづくりが本格化するか。
 市町村は中心市街地活性化法(以下 中活法)に基づき、新たに中心市街地
活性化基本計画(以下 基本計画)を作成し、内閣府の中心市街地活性化本部
に認定を申請する。認定された基本計画に基づき、国(国交省、経産省)は選
択と集中で重点的に支援することとなる。旧中活法ではTMO(まちづくり機関)
や市町村がまちづくりの主体としていたのに対して、改正された中活法の特
徴の一つは、中心市街地活性化協議会(以下 協議会)を設置しなければなら
ないことである。この協議会は「都市機能の増進を推進する者」と「経済活力
の向上を推進する者」の二者(多くの協議会では旧 TMOと商工会議所)が揃っ
て設置者となることが必須条件である。また、構成メンバーは、事業を実施
しようとする民間事業者等、地権者、住民代表、市町村等である。いわば、
民間が主体となるまちづくりを意図したものである。基本計画は、この協議
会の議を経ることが原則となっている。
 現在(11月16日)、協議会は全国で71設置されている。北陸 3県で協議会が
できているのは富山県では富山市、高岡市、石川県では金沢市、小松市、本
県では福井市、越前市、大野市である。また基本計画が認定されたのは18都
市である。最も早かったのは本年2月8日に認定された富山市と青森市で、金
沢市も 5月28日に認定された。現在、国に基本計画を申請しているのは福井
市、越前市、高岡市、三沢市(青森県)、鳥取市(鳥取県)の 5都市である。近
く認定されるとなると認定基本計画を持つのは北陸3県の協議会を持つ7都市
の内5都市となる。全国的にも非常に基本計画の認定割合が高い。
 ただ、この新たなまちづくり3法で中心市街地活性化が本格化するかは疑
問がある。基本計画は協議会の議を経てとなっているが、実質的には協議会
自体が役割を果たしているところは少ない。さらに協議会の議を経て作成さ
れた基本計画も申請段階で少なからずの変更がある。これからもまちづくり
の主体は行政とならざるを得ないであろう。旧まちづくり三法が中心市街地
活性化に期待した効果がなかったことは会計検査院が認めているところであ
る。地方分権が進む中でもまちづくりは、まだまだ国の施策によるところが
大きい。地方都市のまちづくりは中活法の協議会が狙っているように住民や
事業者などの民間活力を如何に引き出すかである。
  本県の各都市が新たなまちづくり三法に頼るのでなく、如何に利用するか
を考え、5年などの短期的視点でなく、数十年の長期的な視点からのまちづ
くりを望むものである。

                     (地域経済研究所 小川雅人)

									  
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