========地域経済研究所 eメールマガジン=========

     VOL.50/ 2 0 0 9.5 .29 (FRI) 発行

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 ▽事業継続計画(通称BCP:Business Continuity Plan)


 金融危機や新型インフルエンザなど、企業経営のリスクマネジメントが
改めて注目を集めている。
 事業継続計画(以下、BCP という)とはリスクマネジメントの一環で、
大規模災害の発生に備え、平時から中核となる事業を継続もしくは早期に
復旧させるための対策を取りまとめた計画のことである。経済産業省中小
企業庁は2006年に BCP 策定ガイドライン「中小企業 BCP 策定運用指針」
(※1)を公開し、中小企業が BCP策定に取り組みやすい環境整備を推進
している。
 企業に潜在するリスクは自然災害のみならず、テロや新型インフルエン
ザの2次感染といった人為的災害、あるいは商品の欠陥や違法行為など多
様化している。さらにサプライチェーン(※2)が複雑化していることに
より、1つの企業にリスクが顕在化すれば、その影響は複数の企業に波及
する。中小企業にとって、 BCPは単に大規模災害リスクへの対策に留まら
ず、その整備がなされていなければ大企業からの受注に影響するため早急
に取り組むべき課題の1つになっている。
 自然災害リスクを例にとると、本県は平成16年に「福井豪雨」が発生し、
九頭竜川水系の足羽川、清滝川など9ヵ所で堤防が決壊し、それらの影響
で死者・行方不明者5名、負傷者19名という人的被害や、建物の全半壊、
床上・床下浸水といった物的損害等が発生し地元産業は大きな打撃を被っ
た。
 今回、福井商工会議所、福井県経営者協会、福井県商工会連合会、損保
ジャパン福井支店、および損保ジャパン・リスクマネジメント社の協力を
得て、県下企業を対象に「企業経営のリスク回避(@リスクに備える資本、
A雇用リスク、BBCP)」に関する実情調査を行った。その中で、BCPにつ
いては日本各地において危険視されている突発性の高い地震や、福井県に
おいてしばしば被害を及ぼしている洪水等のリスク対策を調査し、各企業
の計画策定状況と今後の課題をまとめた。
 ⇒リスクマネジメント研究会(事務局:地域経済研究所)第 2回調査研
  究報告書『企業経営のリスクヘッジ(回避)』2009年5月

                (地域経済研究所准教授 岩瀬泰弘)

(※1)中小企業庁webページ ⇒ http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/
(※2)供給者から消費者までを結ぶ、開発・調達・製造・配送・販売な
    どの一連の流れをいう。








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