========地域経済研究所 eメールマガジン========
VOL.5/2005.8.29(MON)発行
================================ ▽特集1 「電子署名」豆知識  日本では2001年の「e-Japan戦略」、2003年の「e-Japan戦略II」 に沿って、電子政府の構築に向けた準備が進んでいる。電子政府の 中で非常に重要になるのが、ネットワーク上で個人や法人を特定す るための電子署名と呼ばれる技術である。電子入札や電子申請等の ために、すでに電子署名、電子認証を使いこなしている企業や個人 もあろうかと思われる。ここでは、電子署名、電子認証の仕組みに ついて簡単に解説する。  不動産などの商取引をする場合、今までは契約書に「確かにこの 契約を認めます」という証拠として実印を押す。また、その実印が 確かにその個人のものであることを証明するため地方自治体が発行 する印鑑証明を添付する。ネットワークを介した取引の場合、「実 印」に相当するのが「電子署名」であり、「印鑑証明」に対応する のが「電子認証」である。  電子署名には、公開鍵暗号という特殊な暗号を使う。これは暗号 化も復号化も同じ鍵を使う通常の暗号とは違い、公開鍵と秘密鍵と いう対になる2つの鍵があり、一方の鍵で暗号化したものが、別の 鍵で復号化できるという暗号である。通常、ある個人(または法人: 以下同様)の公開鍵はネットワーク上で公開され誰でも知ることが できるが、対になる秘密鍵は、その個人しかわからない。  暗号化通信では、公開されている送り先の公開鍵でメッセージを 暗号化する。すると、それに対応する秘密鍵を持っている送り先の 個人しか、そのメッセージを解読することができないので、メッセ ージの秘密が守られる。  これとは逆に、電子署名では、送り元の秘密鍵でメッセージを暗 号化する。それに対応する公開鍵はネットワーク上で公開されてい るので、誰でもそのメッセージが解読できることになり、暗号とし ての意味はない。しかし、対応する公開鍵で解読できたということ は、それに対応する秘密鍵を持っている個人が、そのメッセージを 作成したということは証明できる。このようにして電子署名を利用 することにより、個人をネットワーク上で特定することが可能にな る。  ただし、電子署名だけでは、別の個人がなりすましをしている危 険性がある。そこで登場するのが電子認証である。これは、認証局 (これもネットワーク上に存在する)が、個人の電子署名を「確か にその個人の電子署名である」ということを証明するための仕組み である。電子認証にも電子署名が使われる。認証局は民間でも設立 できるが、認証局の正当性を証明するため、さらに信頼が高い認証 局の電子認証を受けることができる。                  (情報センター 山川 修)          このウィンドウを閉じる