========地域経済研究所 eメールマガジン=========

     VOL.60/ 2 0 1 0.3 .31 (WED) 発行

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 ▽中国における日本企業子会社の活躍

 2月末から3月初旬にかけて1週間の旅程で中国を訪問した。昨年9月に夏
期ダボス会議に出席するため大連市を訪れたのに続いて 2回目の訪中であ
る。中国に進出している日本企業の子会社を訪問し、日本の経営管理や管
理会計がどのような形で中国子会社に導入・展開されているかを調査する
ためである。まず杭州市では、株式会社カズマ(本社:福井市)とハリマ
化成株式会社(本社:大阪市)の中国子会社をそれぞれ訪問した。次いで
上海市では、京セラコミセュニケーションシステム(本社:京都市)、サ
ントリー株式会社(本社:大阪市)、パナソニック株式会社(本社:大阪
府門真市)の中国子会社をそれぞれ訪問した。
 中国の経済成長は著しいと評されているが、いまもなお活気に溢れ成長
が続いていることを実感した。その成長を支えている企業もまた元気が良
く、訪問した企業ではそれぞれ高い操業度を維持していた。中国への進出
当初は日本人社員が多かったが、現地化を進める中で、中国人社員を重用
する企業が多くなって現在に至っている。さらに経営幹部や技術者の重点
教育によって現地化を一層進める方針であるということであった。我々が
面談した経営幹部にも中国人がいたが、例外なく流暢な日本語を話された。
工場を見学させていただいたが、日本で培われた生産技術と生産管理が徹
底して行われていた。ただし人件費が安いので、すべての工程を機械化・
自動化するのではなく、工場全体としてコストパフォーマンスが高くなる
ように人の配置や投資計画を考えているということであった。それにして
も、安い工業製品が大量に生産される様はまさに圧巻であった。これでは、
本家の日本企業がコスト競争に勝利するのは至難の業であると実感した次
第である。
 調査日程の途中で、福井県立大学と学術交流協定を結んでいる浙江財経
学院(浙江市)の会計学院(日本の会計学部)を表敬訪問するとともに、
大学院生向けに「稲盛経営管理方式と利益連鎖管理」と題する講演を行っ
た。同行していた江財経学院の卒業生で福井県立大学大学院経済経営学研
究科博士後期課程の李ケイナ君が通訳を引き受けてくれた。浙江財経学院
のHPにその時の様子が紹介されている。関心ある方は一度ご覧ください。

http://zjacc.zufe.edu.cn/news/detail.php?sid=1&id=3453

 京セラのアメーバ経営に関する講演であったが、教員のみならず院生か
らも多くの質問を受けた。日本企業の経営管理や管理会計に高い関心があ
ることを実感した。今後も、浙江財経学院との学術交流がますます盛んに
なることを院長先生と祈念しつつ同大学を後にした。機会があれば、もう
一度訪れてみたい。
 短い期間の調査だったが、収穫は大きかった。今回は関西国際空港から
の中国出張であったが、小松空港からも上海に向けて直行便が飛んでいる
ということなので、次回は小松空港からにしようかと今から考えている次
第である。

 最後に、この 3月末日をもって地域経済研究所の所長を任期満了につき
退任します。 2年間ではありましたが、大変お世話になりました。厚く御
礼申し上げます。4月1日から新しい所長として北條蓮英教授(看護福祉学
部)が就任されます。北條所長の下で、地域経済研究所がリフレッシュし
て活動して参ります。今後ともご理解ご協力を賜りますようお願い申し上
げます。
               (地域経済研究所 所長 上總 康行)





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