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     VOL.72/ 2 0 1 1.3 .31 (THU) 発行

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東日本大震災について

  3月11日午後 2時46分、東北地方太平洋沖でマグニチュード 9.0という
記録的な規模の地震が発生した。地震による家屋の火災や倒壊だけでなく、
津波が沿岸地域の自動車や建物の大半を流し、死者は阪神淡路大震災を上
回る惨状となっている。行方不明者も 1万人を超え、避難生活を余儀なく
されている人も数十万人に達しているという。また福島第一原子力発電所
では、地震と津波の影響を受けて水素爆発や建屋の損壊などが発生してい
る。
 今、何よりも大切なのは行方不明者の捜索・救助と被害拡大の防止であ
ろう。あるいは避難所で不安な日々を過ごされている人々の生活環境を確
保することである。その後、今回の震災を教訓に新しい地域づくり、復興
が進められていくことになる。
 世界銀行は 3月21日、東日本大震災の被害額が1,220 億ドル(約9.9兆円)
〜 2,350億ドル(約19兆円)に達し、復興には約 5年かかるとの予測を発
表した。また内閣府の試算によると、震災による住宅や道路の損壊など直
接的な被害総額は16〜25兆円に上るとしている。これは日本の年間GDP
(国内総生産)の2.5〜6%にのぼり、経済的にも甚大な被害を受けたこと
になる。ただし、経済成長は一時的に鈍化するものの、復興努力が進めば
2011年後半から回復に向かう見込みであるという。また、東アジアの途上
国経済に対する影響は、短期的かつ限定的にとどまる見通しである。
 そして、今回の地震と津波は、国内で大きな被害を受けなかった地域だ
けでなく、東アジア全体が直面する課題であるという。東アジア大洋州地
域は地球表面積の半分を占め、全世界人口の59%が住み、世界の自然災害
の70%以上が発生しているからである。特に東アジアの都市は国内の人口
や生産機能が集中しているため、災害に見舞われた場合の被害は甚大とな
ることが予想される。世界銀行は、自然災害に対して耐性があり革新的な
都市の構築、環境面の持続可能性、気候変動への適応に取り組む必要があ
ると指摘した。
 福井県も原子力発電所が集積し、また福井豪雨や今年 1月末の大雪など
で都市機能が混乱した経験を持つ。「日本一住みよい県」と言われる本県
でも今回の震災を教訓に、新しい地域像を打ち出す必要があるのではない
だろうか。今は現前の被害を抑えることで手一杯の状況かもしれないが、
 5年後、いやそれ以内に新しい地域が日本中に誕生していることを願って
いる。

 被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また一日も早い皆様と
回復と被災地の復興をお祈り申し上げます。
                                  (地域経済研究所講師 井上武史)

参考:世界銀行ニュース記事
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/NEWS/0,,contentMDK:228629
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