福井県立大学 小浜キャンパス
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1.現在の主な研究課題
(1) 海藻類の進化多様性に関する研究
海藻は食材としては古くから利用されているが、多様性や生態については不明な点が多い。たとえば、同じ形をした配偶体と胞子体で世代交代をする海藻は多いが、一体何のために世代交代をするのか分かっていない。海藻には無性生殖しか行わない種が数多く見つかっているが、なぜ有性生殖をしないのか不明である。海藻によって進化速度が大きく異なっていることが明らかになりつつあるが、その理由は明らかになっていない。このような謎を解き明かすため、海藻の多様性や動態を調査するとともに、培養した海藻を使って交雑実験や生理実験なども行い、遺伝的交流の有無や生理的な分化を調べている。
パプアニューギニアでマングローブ藻類を採集しているところ
(2) 海藻の防御機構に関する研究
基物に付着して生育する海藻は動物のようには動けないため、独自の防御機構を備えることで様々な環境変化や外敵から身を守っている。たとえば、褐藻にはフロロタンニンと呼ばれるポリフェノール類が多く含まれており、藻食動物への摂食阻害、着生生物の付着抑制、紫外線に対する生体防御などの効果があるといわれている。このフロロタンニンが沿岸生態系にどのような影響を与えているのか不明な点が多いため、着生海藻の着生阻害効果や生長抑制効果などを調査している。最近、プログラム細胞死によって着生海藻を排除しているという可能性が示唆されたため、海藻のプログラム細胞死についても解析を始めている
ヤツマタモクに特異的に着生するモズク
(3)海藻の環境適応能に関する研究
海藻には、海水域からほぼ淡水域まで分布していたり、一年中生育している種類がいる。三方五湖や南川に生育するアオノリやシオグサの通年調査により、塩濃度環境や季節によって優占する遺伝子型が異なっていることが分かってきた。これらの海藻は、生理・生態的に分化することで様々な環境に適応できるようになったと考えられる。塩濃度や水温だけでなく、光・乾燥・栄養塩・波当たりなど、生育に適した環境を求めて海藻同士でしのぎを削っているといえる。様々な環境条件における光合成活性を調べたり、乾燥や低塩濃度に対する耐性などを比較することで、海藻の生き残り戦略や環境適応能の進化について研究を進めている。
三方五湖から見つかったアオノリ類の温度特性と塩濃度特性の違い
(4) 褐藻の形態形成と光に関する研究
陸上の環境と同様に、海の中でも光は植物にとって必要不可欠な物であるため、光を感受し、さらに光の強さや方向を適切に認識して、それに適応するように成長することや形態を変化させることは、海藻の生育において重要なことです。そこで大形藻類、特にコンブ、ワカメなどの有用藻類を含む褐藻植物がどのように光を感じ、どのような仕組みで光に適応するかを明らかにしたいと考えています。
(5) ラン藻にみられる超高分子多糖の重合・放出に関する研究
ラン藻の一部の種では、細胞外に多くの多糖を放出する性質を持ちます。九州地方の清流に成育するラン藻のスイゼンジノリでは、伝統的な食材として食される以外に、多糖成分が化粧品や医薬品の原材料として利用されています。しかし、ラン藻が多糖を細胞外に放出する仕組みは、よく解っていません。ラン藻の全ゲノム解析を行い分子生物学的な観点からラン藻の多糖を放出する仕組みを研究しています。
新規に分離されたラン藻
高分子多糖をつくるよ!
(6)パルマ藻の研究
パルマ藻が珪質の外皮を形成する仕組みについて、形態・分子生物学的に研究しています。
(7) 珪藻進化に関する研究
珪藻はガラスの細胞壁をもつ単細胞の藻類で、10万種類以上が存在していると考 えられている巨大なグループです。 珪藻は貝類や甲殻類などの種苗生産におけ る初期餌料, 古環境復元や水質指標のツールとして重要であるだけでなく, 近年 ではナノテクノロジーやバイオ燃料といった観点からも注目を集めていますが、 その進化の過程はあまり知られていません。そこで細胞形態や分子系統、生態や 生殖様式などといった手掛かりをもとに、珪藻がどのようにして進化して今日み られる多様性を獲得したのかを明らかにすべく研究を行っています。
様々な角度から珪藻進化の謎に迫る!


2.最近の主要研究業績
本研究室の業績の詳細については各教員のページをご覧ください。
神谷充伸
吉川伸哉
佐藤晋也



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