平成17年度

独立行政法人国立女性教育会館 男女共同参画のための女性学・ジェンダーフォーラム


  日本ジェンダー学会比較ジェンダー研究部会

  報告   韓国とイタリアのジェンダーを問う

               −比較ジェンダー研究の視点から−

  韓国・イタリアへの留学経験を持つ二人の報告者が、両国の男女両性がおかれている社会的・文化的問題を論考する。

日本ジェンダー学会
                 http://www.fpu.ac.jp/tukamoto/gender.htm

日 時:2005年8月28()13:0015:00

会 場:マルチメディア研修室


このページには、独立行政法人女性教育会館で実施したワークショップのチラシを掲載しています。

◇報告1:韓流男性学への招待               

 ― ライフ・ヒストリーからみた韓国男性のジェンダー

 報告者:佐々木正徳(九州大学)

◇報告2:オペラ≪カヴァレリア・ルスティカーナ≫にみるジェンダー問題

 報告者:武田好(神戸女学院大学非常勤講師、NHKラジオイタリア語講師)

韓国では「ジェンダーに関する問題=女性問題」という認識が根強いものの、フェミニズムの影響を受ける形で男性運動が生じ、男性学・男性研究を行う男性も少数ながら現れつつある。彼らの多くは、子どもと接する時間を大切にし、子どもを性別に関係なく平等に育てる「よい父親」になることを目標ととして活動している。彼らは「父親」という役割を自明視している点で必ずしもジェンダーの規範から自由な存在であるとはいえないが、「家父長的」「男尊女卑」といった従来のステレオタイプな韓国の男性観からは逸脱した存在であり、韓国男性の多様性を顕在化させてくれる存在である。グローバルとローカルの視点を意識しながら、韓国の男性学・男性運動の現状と課題を把握し、今後の展開の可能性について検討したい。

シチリアの村で起きた事件を題材にしたこのオペラは、イタリア・ヴェリズモ・オペラの代表作として、イタリアのみならず世界的に大成功を収めた。19世紀後半に統一されたイタリア国家の近代化への波は、徴兵制という形でシチリアの村にも及び、これが事件の発端となる。村の掟が破られたとき、男は名誉を守る手段として決闘を選択するが、決闘の前に別れを告げる存在は恋人ではなく母親であった。母親中心主義の風土における「男性性」と村の社会規範と宗教倫理に規制される「女性性」について、オペラ≪カヴァレリア・ルスティカーナ≫のジェンダーに関する考察を試みたい。