上級課題

以下のような方針で,家計簿の入力と結果を分析できる機能をもつアプリを 作成する.またフォームボタンにより扱いやすいような工夫をする.一応の 目安として以下に例を示すが,項目や細かい機能は自由に変更して良い. 最初は簡単なものをつくり,使い込む中で徐々に自分が扱いやすいシステムへ と改良していけばよい.この上級課題は完成品でなはなく,完成品への一歩と 考えて欲しい.

課題の目安

  1. 日々の収入と支出を楽に入力できること(費目コードや支払区分を設定する)
  2. できるだけ自動計算とすること
  3. #N/Aなど目障りな表示は見えないような仕組みにすること
  4. 年間を通じた分析機能を有すること
  5. フォームボタンを利用してエクセルを知らない人が使えるようにすること

雛形の作成

  1. 費目テーブルをつくる

    表1のような費目テーブルは家計簿の項目の基本.
    収支区分の0は収入,1は支出,2は繰越金を表わす.
    表1のような「費目テーブル」という名前のシートをつくろう. このように数字を当てはめるとデータ入力や計算表現が容易になる.

    表1 費目テーブル

    費目コード

    収支区分

    費 目

    1

    0

    給与

    2

    0

    利息

    3

    0

    その他の収入

    10

    1

    家賃

    11

    1

    食費

    12

    1

    水道光熱費

    13

    1

    通信費

    14

    1

    学費

    15

    1

    交際費

    16

    1

    医療費

    17

    1

    被服費

    18

    1

    交通費

    19

    1

    ローン返済費

    20

    1

    その他雑費

    100

    2

    前月繰越残高

  2. 毎月の入力シートをつくる

    まずは1月のテーブルをつくり,あとの11ヶ月分はそれを複製すればよい 日付は,1/1 と入力すると,エクセルでは自動的に1月1日と変換される

    表2 シート名「1月」

    日 付

    費目コード

    収支区分

    費 目

    金 額

    残 高

    備 考

    11

    100

     

    前月繰越残高

    100,000

    0

     

    12

    15

     

    交際費

    20,000

     

     

    14

    12

     

    水道光熱費

    28,500

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    注意 水道光熱費などで,その内訳を記録しておきたい場合は,対応する「備考」列のセルを選択し,メニューから挿入→コメント(または右クリックのメニューから「コメントの挿入」)を選んで,コメントしておく.

  3. 費目や支払区分の自動入力

    先につくった月別シートのひな形「1月」に自動入力機能をもたせる.これは,日付に続いて,費目コード(例えば,1)を入力すると,収支区分番号で収入を表す「0」が,費目のところには「給与」という文字が,自動的に記入されるようにすることです.

    @ 自動入力における未入力時の「#N/A」の処理
  4. 費目コードや支払区分に数字が入力されていな状態ではc,d列に(データを計算できないという印,Not Applicableの略)がでます.見にくいので,これが出ないようにします. A 残高を計算させる

  5. ひな形「1月」のコピー

    シート「1月」をコピーし,1月から12月までのシートを作成する.

家計簿分析表の作成

家計簿分析表は,各月の費目別,あるいは月別支出の合計値を自動的に計算する機能をもち,月ごとの家計の変化や,年毎の変動を比較分析したり,グラフで表すためのデータを提供する.

  1. 「費目テーブル」シートをコピーし,シート名を「分析表」とする.
  2. セルに「1月」と入力し,D1をO1までオートフィルし,1月から12月までの文字をいれる.
  3. 費目別年間合計を出す
  4. @ セルP1に「合計」と入れる. A セルP2に =SUM(D2:O2)と入れるか,アイコンΣを利用する. B セルP2をP16までドラッグし,コピーする.
  5. 月別支出合計を出す
  6. @ セルC17に「月別支出合計」と入れる. A セルD17に = SUM(D5:D15)といれるか,アイコンΣを利用する. B セルD17をP17までドラッグし,コピーする.
  7. 各月の各費目の合計額を出す
  8. @ セルA19に「費目」と入力し,O19までオートフィルでコピーする A 20行に,費目名を入力またはC列のものをコピーする.一つ一つドラッグでコピーできるが,C2からC16を選び,「コピーアイコンをクリック,A20にマウスを移し,編集→形式を選択して貼り付け→行と列を入れ替える」という操作が,行と列を入れ替えて一度にコピーする有効な方法です. B セルD2に =DSUM ('1月'!$A$1:$G$41,"金額",$A$19:$A$20) と入力する.もちろん,関数アイコンfxからデータベース関数DSUMを呼び出して入力するほうが速い.この関数DSUMは,対象とする範囲('1月'!$A$1:$G$41)から,条件($A$19=$A$20)に合うデータを探すべき領域名を入力し(この場合「金額」),その金額すべてを合計するという機能をもつ. C D2をD16までオートフィルし,費目名を対応するものに変える. D D2からD16を選び,全体をO2からO16までドラッグコピーしたのち,月名を変更する.

グラフを書く「マクロを作成」

  1. マクロ記録開始 ツール→マクロ→新しいマクロの記録(マクロ名:費目別推移グラフ)
  2. グラフの範囲指定 シート「分析表」で,C1からO1を選択し,次にCTRLキーを押しながら支出データC6からO15を選択する
  3. グラフウィザード グラフアイコンをクリックし,「折れ線」,「3D折れ線」,「次へ」,「系列(行)」,「次へ」,「グラフタイトル(費目別推移グラフ)」,「XYZ軸ラベル(月,費目,金額)」,「次へ」,「新しいシート」,「次へ」,「完了」の順に選択,操作する.
  4. グラフが描かれた後,マクロ記録ウインドウのボタン■をクリックして終了する. 
  5. シート「月別メニュー」の作成 @ 新しいシートを挿入し,シート名を「月別メニュー」とする. A メニューバーの表示:ツールバー→フォーム B ツールバーのなかのボタンを選択,「月別メニュー」の適当なセルにボタンを指示 C マクロ実行ダイアログウインドウの中の「費目別推移グラフ」を選択 D ボタンの名前を「グラフ」とする
  6. 「1月」から「12月」までのシート移動ボタンの作成 @ マクロ記録開始(ツール→マクロ→新しいマクロの記録) A マクロ名を例えば,「表示1月」とする B シート「1月」に移動し,マクロ記録を終了する C 5.の要領で,「月別メニュー」シートにボタンを作成する
今回の上級課題「家計簿管理」は雑誌「ASAHIパソコン」1997,5,15号および6.1号のアプリケーション使いこなし講座エクセルの題材を引用させていただきました.