開催趣旨


大量生産,大量消費,大量廃棄を基本に経済成長を遂げた我が国の沿岸域では,富栄養化や埋め立て,人工護岸の造成等の人為的な影響を受けて,環境破壊や絶滅を伴う生物多様性の低下,有害有毒赤潮の発生,海底の貧酸素化と青潮の発生等々,様々な問題が顕在化している。沿岸環境に配慮し,改善していくためには多くの人々が先ず関心を持つことが,取り組みの第一歩として重要である。このような観点から,うみの環境教育は重要な意味を持つことは論を待たないであろう。さらに環境教育の場としても,「うみ」は格好の場である。磯遊びや釣り,潮干狩り等は,幼少の頃からの心躍る楽しい思い出として大人にも刷り込まれているであろう。うみで不思議な生物や様々な現象に触れて,豊かなセンス・オブ・ワンダーの感性を育んだ人々は,沿岸環境を守り改善する担い手あるいはサポーターとして,これからの社会で重要な役割を果たすと期待される。本ジョイント・シンポジウムにおいては,うみの環境教育に関わっている様々な組織や個人による,様々な取り組みについて現状を総括し,問題点や今後の展望について討議する。