開催趣旨

 近年の大規模な沿岸開発は,環境や生態系の改変をもたらし,各地で大きな論議を呼んでいる.近隣の関連分野の研究者は多かれ少なかれそれらに関っており何らかの形で情報を発信してきたが,多くの場合開発の流れのなかでは無力であったし,また過去の研究は忘れ去られてきた.沿岸環境を共通のフィールドとする土木学会/海洋学会/水産学会/水産工学会は沿岸環境関連学会連絡協議会を設立し,意見を交換し情報を集積するとともに,沿岸環境をより多角的に捉えて評価し,共同調査・研究等を通じて保全や修復の方策を社会に提言していきたいと考え,ジョイント・シンポジウムを開いてきた.今回は緊急課題である有明海問題に焦点を当て,過去の経緯について学び,また環境修復の道を探る.上記4学会以外にも,より多くの関連学会の参加を希望しており,活発な議論を通じて環境問題に対して「学」が果たす役割を明らかにしていきたい.