講演者に対する質問と回答

(船橋氏の講演に対して)

Q.2000年の名古屋の豪雨災害では,時間雨量50mm/hrでの計画であったが
  実際は100mm/hrにも達し災害が出た.
  斐伊川では2日間の雨量が399mmとして計画しているようであるが,これでよいのか?

A.斐伊川水系のように流域面積が大きくなると普通は時間雨量では計画しない.
  計画雨量は150年に1度程度の確率に相当するもので,
  これまでの実績をもとに決めている.

(中村幹雄氏の講演に対して)

Q.汽水域における貧酸素化と環境悪化は同義ではないことに注意する必要がある.
  現在シジミがよくとれるのは1次生産量が高いおかげであり,
  これは富栄養化しているためでもある.
  したがて,貧酸素化を解消することは湖内の生産性を高めるという面では
  マイナスに作用するのではないか?

A.宍道湖は確かに富栄養だが,生産性はまだ大きくなれるだけのポテンシャルを
  もっており,やはり貧酸素化が大きな制御要因になっていると考える.

(田口氏の講演に対して)

Q.計算のパラメターは計算した年に合うように決めたのか?

A.特別なチューニングはしていない.
  もちろん,この年に特有な入力データは必要である.

Q.AMeDASのデータの内挿はどのようにするのか?

A.客観解析の方法を用いている.

Q.シジミとホトトギスガイの分布が現状に則していないのではないか?
  米子では湖岸から100m以内(-2mまで)しかいないし本庄工区でもこんなにいない.

A.既存の資料を参考に面的に内挿したものであり,
  もしデータがあれば教えていただきたい.

Q.長期間の物質輸送に重要となる残渣流系や連行などについてはどうか?

A.検討が必要である.

Q.シミュレーションの労力と費やす時間はどうか?

A.5年前ではできなかったが,いまではパソコンでも計算できる.
  ただし,データの準備などに手間はかかる.

Q.定期観測に対する要望は?

A.中海側にも観測点を設けてほしい.

Q.シミュレーションを用いることにより,
  シジミの適性漁獲量がどの程度であるとか,
  本庄工区内で貝の養殖ができるか,などの提案はできるか?

A.環境が変わるとシジミ等がどのように応答するかといったモデルが別途必要になる.
  現在開発を進めている.