開催主旨

ノリ大不作を契機として有明海の環境問題がクローズアップされて、水産庁に有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(いわゆる第三者委員会)が作られ、環境悪化の要因解明を中心に9回開催された。委員会には水産庁主導の行政特別研究と国土交通省・環境省などが中心となった国調費と呼ばれる二つの研究成果が報告され、また大学や自然保護団体なども別途精力的に調査を進めた。約2年間の調査や解析で何がわかり、何が今後の問題として残ったのか、さらには現時点での有明海環境改善の展望は何かなどが課題として考えられるが、今回はとくに残された課題のひとつとして、諫早湾締切が諫早湾や有明海の環境悪化とどう関連しているのかを中心として論議したい。締切によって水理条件はどう変化したのか、締切堤防からの汚濁負荷はどう変化したのか、失われた干潟の浄化力はどのように影響するのか、堤防の開門を行った場合どのような環境回復が想定されるのか、など課題は多い。短い時間であるが、この問題を集中的に論議して、諫早湾締切と有明海環境悪化の関連を整理したいので、積極的な論議を期待したい。まず、現在までの研究成果を整理した後、締切堤防が諫早湾や有明海に及ぼすと考えられる影響について話題提供していただき、最後に総合討論で今後の方向をさぐりたい。