開催主旨
干潟生態系は沿岸浅海域の生態系において基盤的な役割を持つが,近年,全国規模でその劣化が目立ち始めている.例えば,干潟ベントスの代表的な存在であるアサリの全国の漁業生産は,1986年以降減少傾向が続き,最近では戦後ピーク時の1/4以下のレベルまで減少してきている.その原因として,沿岸埋め立てによる干潟の喪失がまずあげられるが,それだけでは説明できない事例が少なからず存在する.しかし,現在のところ,ほとんどの場合,その具体的な原因を特定するところまでには至ってない.本ジョイントシンポでは,まず,このような干潟生態系の危機的な状況を全国的な視野から概括するとともに,今後の原因解明に向けての重点調査課題の整理や調査体制のあり方,等について議論する.さらに,原因が十分解明されていない現状の中で,現在進行しつつある干潟生態系の劣化をいかにして食い止め,再生していくか,その方法論について,干潟再生の技術論と体制論の両面から議論する.