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地域経済研究所 メールマガジンバックナンバー Vol.3

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-------------------------  Vol.3/2005.06.28  ---------------------
          
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□■目次■□

 
▽特集1 企業間連携で活路を拓く(最終回)
▽研究所ニュース

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▽特集1 企業間連携で活路を拓く(最終回)
□製造企業のネット活用による企業間連携
−“ビジネス出会い系サイト”で受発注を効率化−



 特集「企業間連携で活路を拓く」の最終回となる今回は、実際の
製造現場で培ったビジネス経験を活かして、製造業の出会系サイト
を運営する株式会社エヌシーネットワーク(本社:東京都千代田区
神田東松下町)を紹介したい。
 同社は、現在、金型、板金、プレス、成形、機械加工など全国各
地の会員企業おおよそ13,000社をネット上で結び、これら企業のた
めの情報発信や情報化支援、さらに電子商取引など様々な事業を行
うことで、中小製造業を支援している。同社のWEBサイト「NCネッ
トワーク」にアクセスすると、製造企業がマッチング機会を得るた
めの多彩な仕掛けに驚かされる。たとえば、加工工場を探したい企
業は発注情報を掲示板に書き込み、受注したい企業がそれに応募す
るわけだが、受発注に伴う会員企業の支援サイト「エミダス工場検
索」などを見ると、会員企業が得意とする加工分野や設備内容、技
術情報など多くの面で他のサイトとは一味違う仕掛けが施されてい
るのである。また、会員企業が自ら誇る技術を個社別に動画でPRす
る技術動画サービスや、挑戦する製造業を紹介する季刊誌「EMIDAS」
の無料発刊、三大都市圏を中心に開催する製造業のためのオフ会
「エミダスだよ!全員集合!!」など、ネット以外の方法で同社が
実施する企業向け支援事業も数多い。そのため、会員企業からのネ
ット上への情報発信は一日20件以上を数え、会員企業数も月平均50
社ペースで増加しているという。
 一方、電子商取引の分野では、同社「加工事業部」の共同受注シ
ステムが多大な成果をあげている。具体的には、大手自動車メーカ
ーや電機メーカーからの発注を「加工事業部」が一括受注し、会員
企業の中から的確な加工先を選定する。従来の電子商取引市場では、
製品規格が確立しており競合条件が価格と納期のみに絞ることが可
能な汎用品が中心であり、同社が扱う加工部品は一括受注に馴染ま
ないとされていた。なぜなら、加工部品の精度をどこまで高めるか
など発注元と委託先工場間での詳細なやり取りが必要とされたから
である。そのため、大手メーカーでは仮に価格が割高としても取引
実績のある工場に任せざるを得ないという事情があった。しかし、
こうした常識を会員企業のネットワークを活かすことで同社が見事
に打ち破ったのである。これは、加工部品の供給に際し、最適な工
場を発見し更なる効率化を目指そうとする大手メーカーの思惑と、
大手企業との直接取引を目指す中小製造業の思惑が見事に合致した
所以に他ならない。同社では、この事業を始めて間がないものの、
既に取引先は情報・電気・自動車など大手メーカー数十社に及ぶと
いう。
 ところで、同社のトップ、内原康雄氏は、もともと都内にある金
属プレス工場の三代目経営者であった。インターネット時代に入っ
た1995年頃、これからはネット上で商売ができると踏んだ内原氏は、
仕事の効率化を狙って、都内で営業していた金属プレス、ばね、金
型、板金の若手経営者8人とともに、東京都労働経済局の支援を受け
イントラネットを構築、それが「NCネットワーク」の始まりである。
CAD/CAMを中心とした社内LANをネットで結び、従来のFAX、郵送に
よる図面データの送受信をネット上で実現した。その後、東京都金
属プレス工業会、日本金型工業会東部支部、日本バネ工業会等がネッ
トワークに加わり、日本で初めての工場向けネットワークサービス
をプロバイダー事業として開始したのである。当初は本業であるプ
レス工場の片手間に営んでいたが、現在はNCネットワークをメイ
ンとし業界最大手と呼ばれるまでに成長した。それでは何故、数あ
るネットワークの中で、内原氏の率いる「NCネットワーク」がこれ
ほどまでに注目を集めたのであろうか。この理由は、内原氏をはじ
めとする「NCネットワーク」の関係者に中小製造業者が多かったこ
と。つまり、「NCネットワーク」構築に際し、こうした同業者の悩
み、ニーズが分かる人的繋がりがモノをいい、製造企業にとって最
適な仕組みを作り上げることができたためである。言い換えれば、
ネットのプロである以前に製造分野のプロであったことが、ネット
ワークづくりにプラス要因として作用した所以に他ならない。企業
のマッチングは、ネット上で単にシステムを作るだけでは成功しな
い。要は、現場での経験に裏打ちされた“目利き”の存在と、それを
ベースに案件を判断し適切なサプライヤーに繋げる能力が求められ
るのである。
 内原氏の理念は、日本企業のモノづくりに優れた技術を世界的に
周知させ、その技術を保有する中小製造業を活性化することにある。
そのため、同社では、製造業に限らず、日本に存在する有力な中小
企業向けB-to-Bポータルサイトを連結し、日本中の知恵を結集した
“仮想工場”建設を目指す「パブ・ジャパン構想」を提唱、現在、ア
パレルウエブなど9社のe-マーケットプレイスがこれに参加してい
る。また、2003年には日本企業の中国でのパートナー探し、発注探
しを目的に「NCネットワークチャイナ」を立ち上げ、現在、2,000
社の会員企業を得るまでに至っている。「個々の企業は、得意な製
品あるいは特徴のある技術に特化し、足りない部分をネットワーク
から入手、それが出来た時、この中小製造業のネットワークは一つ
の仮想工場として動きだすでしょう」と語る内原氏の顔には、日本
のモノづくりの基盤である中小製造業の業務効率化を目指すという
熱い思いがみなぎっていた。                       (なんぼ)


□次号予告
次回のメールマガジンは中国特集を予定しております。急速な経
済成長を続ける中国ですが、日本では中国脅威論がささやかれる
一方で、いくつかの企業では中国をビジネスチャンスと捉え、中
国に事業所を構える企業があとを絶ちません。そこで中国に進出
した企業の現状や展望を、次号の特集でお伝えしようと考えてお
ります。どうぞお楽しみに!


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▽研究所ニュース

■報告■
1. 6月13日(月)午後3時から地域経済研究所経営セミナー(福井県
中小企業経営革新フォーラムと共催)を開催いたしました。特別講演
では「我が社の人事評価システム−制度・運用・課題」をテーマに株
式会社メイテック執行役員の亀澤茂雄氏に講演をしていただきました。
続く情報提供では「勝ち組企業と負け組み企業の比較研究」をテーマ
に本研究所の坂本光司招聘教授に講演をしていただきました。当日は
50人の参加があり、大変熱のこもったセミナーになりました。

■予定■
1. 7月12日(火)午後1時30分から第3回地域経済研究フォーラムを開
催いたします。講師に株式会社林不動産鑑定所代表の林逸雄氏をお迎
えし、「最近の県内不動産情勢」をテーマに講演をしていただく予定
です。会場は福井県立大学交流センター3階の多目的ホールを予定して
おります。参加を希望される方はメール;keiken@fpu.ac.jpで申し込
まれるか、後日郵送いたします紙面の案内状に必要事項をご記入の上、
Fax;0776-61-6041までお送りくださいますようお願いいたします。


《お詫びと訂正》
紙面でお送りいたしました研究フォーラムの案内につきまして一部
誤記がございました。紙面の案内ではフォーラムの開催日時が7月12日
(水)となっておりますが、これは
7月12日(火)の間違いです。ここで訂正させていただくと共に詫び
申し上げます。


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▽編集後記
今、クールビズが注目を浴びている。地球温暖化など環境問題への
対応としては当然である。かつて「省エネルック」として半袖のス
ーツの着用を国が奨励したことがある。モデルは当時の大平総理で、
その印象が強かった。環境問題の関係者は、行政だけでないはずで
ある。生活者一人一人の意識も重要である。意識を高めるとともに、
クールビズを普及させるためには「かっこの良さ」も必要ではない
かと思う。                                       (おがわ)
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