========地域経済研究所 eメールマガジン========= VOL.56/ 2 0 0 9.11 .30 (MON) 発行 ================================= ▽企業経営のリスクを考える リスクとは「将来起きるかもしれない不確実性の変動の幅」のことであ る。ところが日本では「危険」という狭い意味に使われ、リスクは危ない ものとして敬遠される傾向がある。これは日本が安全神話の国によるとこ ろが大きい。そのため「危険」に対峙する言葉として「安全・安心」とい う言葉がよく用いられる。施政方針演説や地域広報において、「安全・安 心の国つくり」、「安全・安心なまち」といった言葉が溢れている。 ちなみに、総合科学技術会議「安全・安心な社会の構築に資する科学技 術政策に関する報告書」を読むと、安全はSafetyと英訳されているが、安 心は適切な英語がないためローマ字でAnshinと書かれている。これは日本 におけるリスクに対する理解不足が原因である。 リスクを学問的に捉えると、リスク経済学とリスク実学に分かれる。リ スク経済学の世界では、アカロフ(Akerlof)、スペンス(Spence)、スティ グリッツ(Stiglitz)など、数多くの学者がノーベル経済学賞を受賞して いる。他方、リスク実学は、医学、工学、法学、農学などと同様、行政、 立法、司法、産業などに大きな指針を与えている。 このようにリスクの研究領域は極めて幅が広く且つ奥が深い。自然災害、 技術・社会などの人工の要因、地域(国)特性のあるもの、相互干渉的な ものなど様々である。さらに近年の世界的風潮としてグローバル化が挙げ られる。それは金融危機や新型インフルエンザなどに顕著である。 福井県立大学地域経済研究所では、来る12月10日に『企業経営のリスク を考える』と題する講演会を交流センター3F多目的ホールで緊急開催する。 今回の講演は企業経営を取り巻くリスクの回避策が中心である。企業と 個人ではリスクの大きさや市場原理の要請の程度により、リスクに対する 関心度に差があると思われるが、個人の方も参加いただければ幸いである。 詳細はホームページ「第11回地域経済研究フォーラム開催について」 ⇒ http://www.s.fpu.ac.jp/fukk/symposium/index.m.html (地域経済研究所准教授 岩瀬 泰弘) ≪ 講演内容 ≫ 第T部 企業経営リスクマネジメントの全容 福井県企業の実情調査及び検討課題、リスクマネジメントの研究領域、 リスクキャピタルの計測方法など 第U部 企業経営のトータルリスク管理 有価証券リスク、資金繰りリスク、事業承継リスク等の回避策。保険 による回避策の実例、使用者賠償責任とメンタルヘルスケア対策、海外進 出企業を取り巻くリスク回避策など 第V部 新型インフルエンザに備えたBCP(事業継続計画) BCPの概要、策定の重要性、策定プロセス、策定事例など このウィンドウを閉じる