オーストラリア便り

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      (すてきな高齢社会をつくる会会報 NO.9) 

      現役ボランティアドライバー フレッドさんはなんと93歳!!(写真右側

シドニーでの在宅サービスのボランティアを始めて2か月。季節は初秋といっても25度を超える日が続いています。今回はオーストラリアの高齢者コミュニティサービスの中心となっているミールズオンウィールズ(食事配達サービス)についてご報告します。

 

私が毎週月曜に食事配達サービスボランティアをしているノースシドニーコミュニティセンターでは、毎日約20人のボランティアがこの地域の約200人の一人暮し高齢者宅へ一軒一軒食事を配達しています。ボランティアの顔触れも様々。93才現役ボランティアドライバーフレッドさんに、台湾人で午後は病院でコックの仕事をしているルークさんなどなど。

 

朝10時になるとボランティアが各自の車で続々とセンターに集合し、各担当地域分の食事の数と種類をチェックします。メインメニューは、暖かい食事、冷たいサラダ、糖尿病用食、ベジタリアン(菜食)など各高齢者の希望通りに作られ、この他に暖かいスープ、デザートがつきます。10時30分に準備完了し、僕は、仕事の休日を利用してボランティアをしているアンさんといっしょに14軒分の食事の配達に向かう。

デザート担当のジェファー

各ボランティアは週1、2回の人が多く、毎回同じ家に配達するので高齢者の人たちも毎週誰がくるかちゃんと覚えている。アンさんも約1年続けているので、一軒一軒食事とスープをセットしながら、1週間の出来事等を聞きます。また椅子から動けない人などもいるのでベットセッティングや花への水やりなどもすることもある。オーストラリアのミールズオンウィールズは、単なる食事配達サービスではなく、地域の人々による一人暮し高齢者訪問サービスの役割も担っているようだ。

これがメインコース1食分わざわざ写真とるために器にいれ直したため、ちょっとぐちゃぐちゃに見えますが、鳥肉のソテー、かぼちゃ、ベイクドポテト、ブロッコリー、煮野菜と、栄養士が一日で摂取するカロリー、ビタミン等を計算し、メニューがつくられています。これ以外に日変わりスープ、日変わりデザート、ジュースがつきます。

食事、スープは冷めないようにきっちり保温ボックスに入れられます。

日本で導入されようとしている介護保険制度では食事配達サービスは保険対象にならず、食事の作れない高齢者は自費で民間サービスを利用するか、各自治体で実施する場合のみそれを利用することができる。もちろん従来のホームヘルプサービスには食事をつくることも含まれている場合もあるが、滞在型でなく短時間巡回型の場合は困難であろう。また、要介護度によってホームヘルプも毎日利用できるとは限らない。

日本でもいくつかの自治体で食事配達サービスを実施しているが、オーストラリアのように在宅サービスの根幹にはなっていない。これは文化の違いからきているのかもしれないが、食事はどこの国でも高齢者の健康を維持し、病気を予防する大切な役割を担っている。また、何よりも地域ボランティアの笑顔を食事といっしょに運ぶオーストラリアのミールズオンウィールズは、地域の人々と高齢者をつなげる大切な掛けはしとなっています。

 

                   

sfunaki@fpu.ac.jp