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植物ペプチドホルモンの応用を目指した研究

ペプチドホルモンは植物種を越えて広く保存されています。モデル植物であるシロイヌナズナを用いて次々と発見されているペプチドホルモンですが、ペプチドホルモンをコードする遺伝子は、ポプラのような木本植物から、イネやトマト、トウモロコシといった作物植物まで広く保存されており、それぞれの植物種で機能しています。

ペプチドホルモンの研究は、シロイヌナズナやゼニゴケに限られたものではなく、作物植物についても解析が進んでいます。ペプチドホルモンとその受容体を介した情報伝達経路を改変した作物は、例えばトマトでは実が大きくなったり、トウモロコシでは収量が上がったりする報告もあり([link][link])、ペプチドホルモンの情報伝達経路をターゲットとした作物への応用研究にも注目が集まっています。

またペプチドホルモンの特徴として、極めて低濃度で効果を発揮する、ということが挙げられます。例えば、水をはった50メートルプールに、わずか耳かき一杯のペプチドホルモンを入れるだけで効果が発揮されます。これは他のどんな植物ホルモンよりも強い活性といえ、ペプチドホルモンはまったく新しい植調剤の開発のターゲットになり得るものです。

またペプチドホルモンの情報伝達経路に作用する低分子化合物スクリーニングも、新たな植調剤の開発に繋がると考えられます。私たちはペプチドホルモンCLE9と受容体BAM1の結合を指標にしたケミカルスクリーニングを行い、ペプチドホルモンの作用に拮抗する低分子化合物の同定に成功しました([Link])。この手法は他のペプチドホルモンにも応用可能で、これまでターゲットにされてこなかったペプチドホルモンの情報伝達に作用する薬剤の開発のシードになる可能性があります。

作物植物への応用については遺伝子組み換えへの対応など、植調剤開発についてはペプチド自体の分解のされ易さや合成のコストなど、クリアしなければいけない問題はありますが、私たちは、これまで培ってきたペプチドホルモンの研究ノウハウを活かし、作物植物への応用に挑戦します。