1.湾域全体でのアサリ浮遊幼生動態把握に基づく干潟再生戦略−東京湾を対象として−

                                 (日向さん)

質問1:門谷先生(北大)

(1)東京湾内の多数の干潟でほぼ同時にアサリが産卵すると考えているようだがこれは妥当か?

A.8月2日のデータによると、100μmの幼生の分布は成貝のいる地域のすぐ沖であった。産まれてから100μmの大きさになるのは2日未満なので、モデルの推定においても誤差は小さいはずである。よって、ほぼ同時に産卵すると言えるが、その原因はよくわからない。

(2)夜光虫の捕食については調べているか?

A.調べていない。

質問2:工藤先生(東海大)

(1)何故夏季に調査を行ったのか?春季,秋季が適しているのではないか?

A.初夏は逃した(事務的に予算の関係で)。秋季は行った。

 

2.英虞湾と大阪湾における干潟再生実験事例と干潟造成技術の課題(上野さん)

質問1:青木さん(諫早干潟緊急救済事務所)

(1)人工干潟はどうしても小規模になるのでその斜面が急勾配になる傾向があるそうだが,今回紹介された英虞湾の事例でも同様な問題があったのではないか?

A.英虞湾の勾配は25分の1と急勾配である。もとの地形がリアス式であるので元々急勾配である。湿地帯を合わせると、おそらく50分の1から100分の1になるが、これでも普通よりははるかに急勾配である。

質問2:風間さん(国土環境)

(1)英虞湾の人工干潟実験を行った場所は元々どのような場所であったのか?長期的な視点からは,人工干潟を設置する場所が元々どのような環境にあったかが重要な要素になるのではないか?

A.昔はアサリがいたが、今は全くいない。埋め立てはあるが、集落のない時代と比べて地形が全く変わったということはない。

(2)浚渫土砂と自然砂にはそれぞれ利点欠点があるのではないか?

A.多様性を取り入れた方がいいというのは全く同感である。しかし、一気にやるとわからなくなってしまうので、一様化して、もしくは一様化したものと多様化したものの比較を行うなどして実証論的に見ていく。また、微地形や底質分布を決めるのは難しく、試行錯誤していきたい。

 

3.三河湾の浅場造成プロジェクトの環境修復効果について(武田さん)

質問1:大島さん(国土環境)

(1)人工干潟におけるアサリの漁獲量の湾全体の漁獲量に占める割合は?

A.それほど多くはない。人口干潟・浅場の造成で湾全体の漁獲高が特に増えたということはない。

(2)海水交換量の見積もり方を説明してほしい。

A.細部については今ここでお答えできるようには準備していない。

質問2:

(1)結果として人工干潟を造成したことで水質の改善は見られたのか?

A.水質の改善は特に見られず、いまだに赤潮が発生する。今回の人口干潟・浅場の造成は環境の改善をもたらすといったレベルではない。

干潟再生技術の現状と課題