陸域からの熱負荷の定量的評価(木内氏)

発表要旨

人間活動によって引き起こされる熱環境の変化に着目し、東京湾沿岸における河川域や沿岸域の水温上昇の実態が紹介された。主要な結果は以下の通り。

質疑応答

No質問回答
1 熱フラックスの算定値の結果において大気側への海面熱フラックスの値がここ最近減少傾向にある理由は? 海上での観測値を用いているわけではないので、必ずしも厳密な結果だとは言えないが、計算上は日射量の増加によって大気側への海面熱フラックスが減少するとの結果が得られている。
2 熱負荷と流量との関係性は議論しているか?また4月の熱負荷の増加は流量の増加で説明できるのか? 河口通過熱量が4月に上昇するのは、降水量増に伴う流量増と、河川水温と湾奥部の海水面温度の差の増大の双方の影響であり、流量増の影響が相対的に大きい。



現状把握




問題解決の戦略・戦術の提言

沿岸域への人工的な熱負荷が物理場や生態系へ与える影響について、数値的な感度解析を行う必要があるのではとの指摘がなされた。水温の変化による生物相の変化、水質浄化機能を有することが指摘されている干潟生態系への影響、河口域の生態環境、を考慮する必要性が指摘された。

なお、環境への悪影響(汚染)ということだけではなくて,浄化機能の増加といったプラスの効果の観点からも熱の影響を捉える必要がある。