福井の近代土木遺産■■■
■春日野隧道(越前市〜南条郡南越前町) 春日野隧道は、越前市と南越前町の境、武生トンネル(現在の国道8号線)西側の山中にある。
明治19(1886)年、嶺南と嶺北が約44kmの車道で結ばれた。
この隧道(トンネル)は、その中間に位置し、長さ約65m。高さと幅はともに約4.5mと、当時としてはこの幅員はかなり広いものである。
建設にあたっては、福井商法会議所(現商工会議所)初代会頭の伊藤真が、商工業発展には物流網確保が不可欠との認識から、必要性を強く訴え、整備に貢献した。約80年間、現役の国道であったが、昭和43(1968)年、廃道となった。地図はここ ▲南側入口全景 ▲隧道内部 ■阿曽隧道(敦賀市阿曽) 越前海岸沿い阿曽集落の南、黒崎に本県最古の隧道・阿曽隧道がある。明治9年に敦賀から北に向かう道路の整備事業の一環として開削されたが、敦賀県が廃止となり道路事業は中断、隧道だけが残された。
明治16年7月8日の敦賀一帯を襲った暴風雨で崩落したが、明治18年武生〜敦賀間の新車道開削計画が俎上にあがると、そのルートに組み込まれ、翌19年に拡張整備された。
全長は52.5m。出入口部分は石組み、中央は素彫りのままという珍しい姿を今に留めている。地図はここ ▲南側入口 ▲隧道内部
■金ヶ崎隧道(敦賀市金ヶ崎) 敦賀市気比神宮前の国道8号を北上すると、間もなく金ヶ崎トンネルとなる。このトンネルの真上に、明治中期の現存最古級の道路用煉瓦造り隧道の一つである金ヶ崎隧道(長さ約290m、幅4.5m)が残っている。
明治18年8月武生(越前市)と敦賀を結ぶ車道開削が着工となり、同19年2月にこの隧道も着工、8月には貫通し年末に竣工した。北側には「金崎隧道」と松平春嶽の筆による扁額が掲げられている。
北側からのアクセスは難があるが、南側へは金ヶ崎宮の横手から簡単に登って行ける。地図はここ ▲北側入口 ▲松平春嶽扁額(北側入口)
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