「Diversional Theraphist」

オーストラリアの高齢者福祉施設には20年ほど前から「Diversional Theraphist」という新しい福祉専門職が生まれた。OTのレクリエーション、リハビリテーション面、ソーシャルワーカーの社会面、セラピストの心理面それぞれを専門性を持って、各高齢者を幸せに導き(Divert to happiness)、生活の質を向上させる(promote QOL)役割を持つ。それ以前は、レクリエーションワーカー、OTなどがその役割を行っていたが、現在では「Diversional Theraphist」がほとんどの高齢者施設に配置され、書類記録も毎年政府によってチェックされる。各施設にはActivity officierというスタッフが必ず配置されており、これは書類チェックを受けることもなく、政府からの補助金も2ドル/1時間安い。

回想法、音楽療法、運動療法、陶芸療法、趣味活動、バス旅行など様々な手法が使われるがいわゆる「治療」という目的で実施されるのではない。個人が自己実現を感じ、自分の価値の向上を目的にプログラムが実施される。Diversional therapistは大学2年または3年の学位で修了することができる。オーストラリアではシドニー大学によって初めてコースが開始した。

Chatswood Nursing Homeのキャシーさんに詳しくお聞きしました。この施設では高齢化が進み、グループプログラムから個人プログラムへ意向している。運動をともなうものではなく、音楽鑑賞などの心を落ち着かせたり、楽しめるものが多い。音楽でも自然音楽やリラクゼーションミュージック、カントリーミュージックなど。クリスマスカード、人形作りも3年前までは入居者でいっしょに創っていたが、今では創る過程をみせるプログラムを行っている。バス旅行も5人で特別なバスを借りて、2人のスタッフがついて出かけるが外へでるというよりは車の中から見ているだけにしている。

1998年10月月間予定表 チャッツウッドコミュニティナーシングホーム 

月曜

火曜

水曜

木曜

金曜

スポーツ観戦2pmビデオ

2pm中庭活動

銀行/祝日

2pmビンゴ

2pmボードゲーム

他のホームへ訪問

2pmコンサート

11am運動2pmパーティ

2pmビンゴ

2pm 音楽鑑賞

2pm喫茶と話し合い

2pm中庭活動

11am運動2pm歌

2pmビンゴ

国際的なテーマ講演

バーベキュー、ピアノ

映画鑑賞会

11am運動2pmバス旅行

宗教朗読

2pm歌

ゲームの日、ビンゴ

2pmコンサート

「Diversional Therapy記録表」(政府提出資料のために毎日各入居者について項目をチェックする)

芸術

バーベキュー

ビンゴ

バス旅行

カードゲーム

教会サービス

会話

クラフト

エンターテイメント

運動

ゲーム

化粧、おしゃれ

グループ討論

グループゲーム

グループクイズ

お酒

個別訪問

音楽

ニュース

家族と外出

入居者同士交流

テレビ鑑賞

訪問者

ボランティア交流

散歩

観察活動

不参加

参加拒否

これらの項目には毎日チェックし、さらに月に1回個人アセスメントを実施する。年1回の政府のチェック。

  

sfunaki@fpu.ac.jp