オーストラリア高齢者福祉施設政策の歴史と現状

施設収容主義から脱施設収容主義へ

1954年〜84年の連邦政府による高齢者福祉政策は、施設政策が中心であり、高齢者在宅福祉サービスはあまり発展していなかった。特に1974年に斐営利団体のナーシングホームの年間運営費の不足分を補助金で補うようになってから、非営利団体のナーシングホームのベット数が、1980年までに47%増加した。(政府18%、営利団体7%)しかし、1982年にはマクレイ報告が出され、その中で医療と福祉の制度的改革と家族中心福祉からボランティアセクターや政府による公的福祉への委譲について論じられた。その報告は、今までのコミュニティサービスの欠点である分断化やニーズへの無視を指摘し、サービスコーディネートのシンプル化や州政府との効率的な財政強調を提唱した。さらに、高齢者により総合的な在宅サービスを適切に提供するために地域ごとにアセスメントチームを設置することを提案した(Errey:13p)。この報告を基にして1985年ホームアンドコミュニティケア法が成立し、今までの不適切な施設入居を防止し、できるだけ高齢者が自分の家で充実した生活がおくれるように様々な在宅サービスを開始した (Howe 1990:15)。1991年の中間報告書においてはこのプログラムの効果が証明されたものの、いくつかの州はプログラムへの積極的参加の姿勢を財政的理由から否定した (Sax:111)。

 

'Deinstitutionalisation'(脱施設収容主義)という言葉は、伝統的に精神医療、精神障害の領域にて、施設から地域へ移行していく福祉政策として使われていた。長期精神治療ベット数は、1960年代に100000人に281ベットだったが、1990年代には40ベットに減少した。高齢者ケアにおいても、その傾向はここ10年強く、70才以上の高齢者1000人に対して99ベットから92ベットへ減少している。

ダイアン・ギブソン氏(1998)はその他の現象として、4点あげている。

1)介護性の強いナーシングホームから介護性の低いホステルへの移行

2)在宅福祉サービスの質と種類の増加だけでなく、適切なサービス供給の増加

3)レスパイトケアなどの施設ケアと在宅ケアの中間領域の増加

4)サービスを必要とするクライアントの増加

また、ベット数の内訳に関しても変化が見られ、1991年には、70歳以上1000人当たりの施設ベット数は93床で、そのうちナーシングホームは57、ホステルは36である。

 

視察日程表

11月26日 1:00pm Harbison Memorial Retirement Village Charlotte St, Burradoo NSW

 

11月27日 10:00am Georgian house (hostel, respite care) 50-52 Mclaren St, North Sydney

 

11月30日 11:00am Chatswood Community Nursing Home 256-258 Victoria Ave. Chatswood

 

2月1日 Dimentia Service Development Centre

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