![]() | 伝統農業 従来,農業は小さな地域で1000年来の経験と知恵と協調のもとに営まれてきた.麦など裏作ひとつとっても,野菜栽培と合わせることで連作障害もなく,化学肥料や農薬を使わない農業を実現してきた. |
![]() | 農業の工業化 ところが,戦後,近代化の過程で,産業の分業がはじまり,農業の化学化と機械化が進展,土地・労働生産性を飛躍的に高め,いわゆる農業の工業化が進んだ.工業化は,地域の拡大と分業を助長し,長年月かけて人知が築いた農法を忘却させ,若者を都会に追いやった.結果,農業・農村社会そのものが衰退し,自然環境と農村文化が破壊されつつあり,後継者不足や自給率の低下は,食に対する不安をもたらしている. |
![]() | 情報・通信技術の発達
しかし,90年代に入って,先進国ではコンピュータを農業に生かす試みが急速に進展した.単なる機械化を支援する道具ではなく,環境負荷を押さえ,資源を有効利用し,生産から販売までを管理する道具としてである.他方,コンピュータネットワークによって,コミュニケーションが容易になり,官主導ではなく仲間で考え助け合う農業を可能にしつつある.
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![]() | 農の見直し そして,科学技術の発達と時期を同じくして,環境問題や食への不安,人間の心の問題等が顕在化する中で,農業・農村の重要性が見直されてきた.生物資源,環境資源,環境負荷,食の安全性,有機農業,伝統農法,農業の教育力,農村文化,農村のアメニティと人間の心の癒し,体験農業….
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![]() | 新たな農業・農村の構築と情報
いま,伝統的な農法と近代科学技術を生かしながら新たなる農業・農村を展開していく気運が生れてきている.コンピュータとネットワーク,つまり情報がこれから変貌する農業や農村に果たす役割は,きわめて大きくなりそうである. |