主観的健康感と関連する要因
地域で生活する高齢者の主観的健康感と関連する要因
地域で生活する高齢者の主観的健康感がソーシャル・キャピタルを含めた交絡要因を調整したうえでも、保健事業の認知・利用状況・満足感、健康習慣と関連するかを検討した。
その結果、主観的健康感良好群に対するオッズ比は健康診査利用群1.27(95%CI;1.03-1.56、p=0.026)、健康相談利用群1.47(95%CI;1.14-1.91、p=0.003)、保健・介護予防事業満足群1.41(95%CI;1.13-1.74、p=0.002)、健康習慣高実践群1.49(95%CI;1.15-1.93、p=0.002)であった。健康づくり事業利用の有無、保健事業の認知状況はいずれも関連が認められなかった。
交絡要因を考慮しても、高齢者の主観的健康感と保健事業の利用状況・満足感、健康習慣が関連した。高齢者の保健事業への利用をさらに促進し、健康習慣の実践度を高め、満足してもらえる保健事業を企画・実施することが主観的健康感を高める方向に寄与すると示唆された。
主観的健康感良好群に関するロジスティク回帰分析
項 目 | カテゴリー | オッズ比 | 95%信頼区間 | p | |||
下限 | 上限 | ||||||
保健事業 | 認知 状況 |
健診事業 | 1:知っている群/0:知らない群 | 0.98 | 0.63 | 1.54 | ns |
健康相談事業 | 1:知っている群/0:知らない群 | 1.15 | 0.92 | 1.45 | ns | ||
健康づくり事業 | 1:知っている群/0:知らない群 | 0.87 | 0.69 | 1.10 | ns | ||
利用 状況 |
健診事業 | 1:利用した群/0:利用していない群 | 1.27 | 1.03 | 1.56 | 0.026 | |
健康相談事業 | 1:利用した群/0:利用していない群 | 1.47 | 1.14 | 1.91 | 0.003 | ||
健康づくり事業 | 1:利用した群/0:利用していない群 | 0.87 | 0.69 | 1.10 | ns | ||
健診や健康づくり・介護予防事業の満足感 | 1:満足群/0:不満足群 | 1.41 | 1.13 | 1.74 | 0.002 | ||
健康習慣(喫煙,飲酒,間食,体重,運動,野菜,歯磨き) | 1:高実践群(3以上/7) 0:低実践群(2以下/7) |
1.49 | 1.15 | 1.93 | 0.002 | ||
調整因子 | 信頼 | 住んでいる地域の人々 | 1:信頼できる/0:信頼できない | 1.08 | 0.88 | 1.34 | ns |
互酬性規範 | 近所の人は介護が必要になった時 | 1:手をさしのべると思う/0:思わない | 1.31 | 1.06 | 1.62 | 0.014 | |
ネットワーク | 近所の人とのつきあい | 1:相談・日用品貸借,日常的つきあいあり 0:最小限の挨拶程度,つきあいはない |
1.08 | 0.87 | 1.34 | ns | |
友人知人と会う頻度 | 1:毎日~週に何度か/0:月に何度か以下 | 1.27 | 1.03 | 1.57 | 0.025 | ||
1か月に会った友人知人の人数 | 1:6人以上/0:5人以下 | 1.34 | 1.08 | 1.69 | 0.008 | ||
自治組織・グループ活動の参加 | 1:参加あり/0:参加なし | 1.34 | 1.08 | 1.66 | 0.008 | ||
就労 | 1:あり/0:なし | 1.57 | 1.22 | 2.04 | 0.001 | ||
年齢 | 1:前期高齢者/0:後期高齢者 | 1.32 | 1.08 | 1.62 | 0.006 | ||
家族構成 | 1:同居家族あり/0:独居 | 1.18 | 0.87 | 1.60 | ns | ||
受療状況 | 1:受療なし/0:受療あり | 7.07 | 4.66 | 10.72 | 0.000 | ||
IADL(老研式活動能力得点) | 1:13点満点/0:12点以下 | 1.49 | 1.16 | 1.91 | 0.002 | ||
経済的ゆとり | 1:ゆとりあり/0:ゆとりなし | 1.67 | 1.36 | 2.04 | 0.000 |
<モデルの適合度>Hosmer-Lemeshow の検定 P=0.892